2分で読める★大学受験のコッツン!京都編

小・中学生から始める大学受験のコツ。成績下位の人向け勉強法

どうして私立大の入試が急にここまで難しくなったの?(パート2)

 

 

パート1の続き)

 

私大入試に大きな影響を与えた

私学助成金制度の変更について、

知らなかった人のために、

これを読んでいる中学生の人にも

わかるようにものすごくわかりやすく

ざっくり説明します。

 

 

つまり、

 

定員を思いっきりオーバーして

学生を入学させたら、

補助金カットするぞ!

 

ということです。

 

 規制の対象は、三大都市圏の大規模・中規模大学です。

三大都市圏とは、東京・愛知・大阪を中心とする

エリア。もちろん京都も含まれます。)

 

 

 

私立大学の多くは、

国から私学助成金補助金

をもらって運営しています。

 

 例えば、西日本の私大で

助成金の金額トップは立命館で、

約60億円です。(全国私大では5位。)

 

で、

 

定員をこえて入学させる、

とはどういうことかというと、、、

 

私立大学のほとんどは、

合格を水増しして定員より

かなり大きく出します。

 

なぜかというと、

大学は ほぼ併願受験なので、

ひとりの受験生が「滑り止め」や

「挑戦」含め、

いろんな大学・学部を

たくさん受験します。

 

5回や10回、15回の受験も、

別に珍しいことではありません。

 

たとえば高校入試でも、

私立高校を併願で合格しても

第一志望の公立高校に合格すると

私立には入学しないので、

併願合格の入学者の割合は

かなり低くなることがありますね。

あれと同じことです。

 

ただ、高校入試は「併願」で出願した時点で

高校側が

「ああ、第一志望がほかにあるのね。

そっち合格したらウチには来ないね。」

と、最初からわかるようになっているので

ある程度の予測が立てられるのですが、

 

大学入試は基本的にほぼオール併願で、

しかも『全国大会』なので受験生の数の

ケタが違うことに加え、

たった1個の合格をとるのがたいへんな

入試なので、ひとりの受験回数は必然的に

多くなるのです。

 

このあたりは、高校入試とまるっきり

感覚が違うところです。

 

なので、大学側からすると、

合格を出しても実際に 

学生がどこまで入学してくるかどうか

よくわからないので、過去のデータから

出した合格数に対してこれくらいの人数が

入学手続きをしてくるだろうと

予測を立てて、相当な水増しをして

合格を出しているのです。

 

多いときは、定員の

6倍くらいは合格を出します。

(もっと出すのもあります。)

 

 

そして・・・

ここからが勝手な想像ですが・・・

 

大学にしてみれば、

 

おっと、予想が外れたぞ。

定員を思いっきりオーバーして

入学してくれたぞ!

 

となっても・・・別に、まあ、

いいですよね。

 

大教室に、5人や10人・・・

いや、50人や60人・・・

定員より多く学生がいたって・・・。

別に困らないですよね、

っていうか、

大学の収入、増えちゃいますね(!)。

 

・・・ってなことが、

もしも横行したら、、、

 

 三大都市圏の私立大は

ただでさえ大人気。 

 

そこに、さらに定員オーバーで

地方の学生をどんどんもっていく

ようなことがあると、

少子化もあって、

地方の大学がどんどん

潰れていくことになるでしょう。

 

 そこで規制が入ったのかもしれません。

 

2016年から少しずつ段階的に規制が強化され、

2018年でいったん完結しました。

 

どれくらいの規制かというと、

これがなかなか厳しくて、

 

例えば大規模の大学であれば、

「オ―バー10%まで」

ということですから、

 

8,000人の定員であれば、

超過が許されるのは

なんと、わずか800人(!)

 

併願合格からの入学数を予測し、

8,000人もの定員をぴったり満たすのに、

予測からたった800人超えただけで

数十億円の補助金が、

チョキン!とカット・・・

 

大学側からしたら、

身も凍るような

恐ろしい話です。

 

補助金カットされるくらいなら、

多少 定員割ってでも、思いっきり

合格出すのを減らしてやろうと、

普通は考えるでしょう。

 

 

それが前回の、2018年度入試でした。

 

 

2018年は、本当に大混乱の入試でした。

 

いろんな高校の現場でも、

合格するはずの生徒たちが

バンバン落ちてくるので、

大混乱だったようです。

 

また、大学のなかには、

合格を小出しにしておき、

受験生の入学手続き状況を見た上で、

不足分を3月の中旬過ぎに

追加合格を出して充足する、

という荒技を繰り出すところもあり、

さらに混乱を極めました。

(おーい、同志社~!)

 

 

地方から来る受験生にしてみれば、

第一志望の大学から

いったん不合格が来たので

いさぎよくあきらめ、

合格した他大学の近くに下宿を決めたのに、

(地方から来る人は、大学に合格したら

速攻で下宿を決めないと、

いい物件がすぐになくなってしまう)

入学式も1、2週間前にせまったある日、

まさかのミラクル(!)で

あこがれの大学から合格通知が来て、

あわてて引っ越し予定だった下宿を

キャンセルしてまたさがし直す、

というようなこともあったようです。

(まあ、この場合はうれしい混乱ですが)

 

 

 

今回の2019年入試は、

前回入試で出た大量の浪人も参戦し、

さらに18年を超える厳しい規制

(定員を1%でも超えたら罰則)

が入るということで、

一体どんな入試になるだろうと

内心ビビっていました。

 

思えば、

一時は「大学全入時代の到来」などと

言われ、大学入試がどんどん楽に

なっていくのを、ただひたすら

ぼーっと眺めていました。

 

※「全入」とは、受験生の人口に対して

大学の定員が同じか、それ以上になるということ。

あくまで数字上は全員が大学入学できるので、

全入時代」が来ると言われた。

 

 

私立大学は受験生を集めるのに必死、

高校とどんどん提携してエスカレーター

進学(内部進学)を増やし、また、

大学が自分の大学の入試対策講座を

開き、オープンキャンパスでは

自分の大学の赤本を無料で配り、

入試担当者が塾をまわって

宣伝をしたりと、

一昔前では考えられないような

熾烈(しれつ)な受験生の獲得合戦が

繰り広げられています。

 

それがここにきて、急転。

全入どころか、まさに京都は

「1990年代受験の再来」に近づく様相を

見せ始めています。

 

※1990年代前半は、18歳人口が200万人を超える

大学受験の超氷河期。当時、定員に対して

受験生が入りきらず、そのため入試が激難化、

一般入試の合格者の6~7割は浪人生が占める

状態になっていた。私立文系でも2浪・3浪が

ゴロゴロいた予備校全盛期。

 

 

19年の入試は、

「定員を1%でも超えたら罰則」

という規制が、 去年の秋に突然

撤回され、

18年基準(「10%オーバーまで」)に

とどめられたのはよかったのですが、

 

なんと、、、代わりに

インセンティブ制度が導入されていました。

(英語: incentive)

 

インセンティブとは、わかりやすくいうと、

 

ごぼうび」

 

 

わかりやすく説明すると、

 

「定員の1割(8,000人なら800人)

までなら超過入学させてもいいよ、

でも、がんばって

定員の9割~ぴったりまでに抑えたら

ごほうびに補助金を増やしてあげるよ」

 

 という、超微妙(?)な制度です。

 

 

最初、19年からスタートと決まっていた 

「定員を超えただけで、罰!」

が、

 「定員超えなかったら、ごほうび!」

に。

 

・・・巧妙。

 

官僚の人たちって、すごいことを考えますね。 

 

 

この方策の反応として、

自然な流れとして大学はこう考えますね。

 

 

 

「定員を微妙に超えるだけなら、

合格もっと絞って定員割りこんで、

補助金をもらおう」

と・・・

(もちろん、ただの想像です。)

 

 

 

もうすぐ私大の3月入試の結果が出そろい、

全ての合格数が決まります。

 

今年は18年と比べて、

一体どんな結果になるのでしょうか。 

 

来年の入試を占う、とても重要な指標となるので、

注目しています。