紙の辞書を使えば成績が上がる(その1)
クラスで英語が得意な友人は
わからない単語があると
慣れた感じでササッと
電子辞書を使って調べます。
なんかちょっと、カッコいい。
友人の真似をして
電子辞書で単語を引いてみるのですが、
でも、何か、しっくりきません。
友人のように、そのあとが
うまく続かないのです。
その時 意味がわかるんだけど
30分もたつともう
さっき調べたばかりの意味を
忘れています。
電子辞書で英語を勉強していても、
ただ「その場しのぎ」してるみたい。
受験に役に立つことをしている
自信がもてません。
「勉強やった感」がないのです。
英語が得意な友人のやり方を
真似しているのだから、
無意味なわけがないのですが、
力がついているという実感が
全然ないのです。
・・・その時、
あの先生がずっと前に、
やたら紙の辞書を奨めていたのを
突然思い出しました。
今どき紙の辞書なんて
めんどくさいこと言うなあ、
と思ってその時は気にもとめて
いなかったのですが、
急になんとなく
試してみようという気になって、
ケースに入ったまま一度も使わず
置いていた分厚い辞書を手に取り、
英語の勉強を始めます。
問題集を開くと、
さっそく1行目からわからない単語が
目に飛び込んできたので
パラパラと辞書をめくります。
紙の辞書は、
ページをめくって単語をさがすので
手間がかかる。
ようやく単語を見つけ出し、
びっしりと書かれた文字の中から
当てはまる意味を発見。
えっと・・・
これで本当に英語が得意になるの??
そして、 紙の辞書を使い始めて
数日たったある日、
ふと気づきます。
単語の意味を調べたときに、
2番手・
そして8番手までの意味と例文が
ぱっと見渡せて、
「へー!こんな意味もあるんだ。」
と、予想してなかった発見があります。
たとえば 長文の中で meet という単語が
出てきたのですが、
「~に会う」と訳してみても
どうもしっくりいかないので、
「(要求)を満たす」という意味があり、
その使い方の例文までが目に入って
「へ~!」となります。
せっかく時間をかけて単語を引いたので、
何かやった跡を残しておきたくなって、
赤ペンで自分が調べた部分に
ラインを引いておきます。
電子辞書の時とあきらかに違うのは、
辞書に赤ラインを引くたびに
「勉強してる~!」という
快感があります。
別にそれで単語が完璧に
覚えられたわけではないし
ただ赤でラインを引いている
だけなのですが、
そんなちょっとした充実感
のようなものも大事な気がします。
でも当然ながら、
せっかく調べた単語も
数日後には
記憶の彼方に消えていって
しまいます・・・。
(意味ないのでは?)
数か月後、たまたま medical (医学の)
という単語を辞書で引くことがありました。
すると同じページに、
いつだったかもう忘れていたけれど、
調べたことがあって、
赤のラインが入っているのが目に入ります。
「
と、自分で赤ペンまで入れているのに
まったく忘れてしまっていることが
ちょっと面白いです。
「meet ってこんな意味もあったっけんだ!
そういやそんなの、あったっけ!」
気のせいかもしれませんが、
なんとなく調べたことがあるような、
ないような。。。
その下の例文にも
同じく赤ラインが入っています。
We cannot meet the demands of the hijackers.
乗っ取り犯たちの要求には応じられない
※『ライトハウス』より
「あー! そういや、あった、あった!」
思い出しました。
そしてその時、その英単語が、
自分の中で「モノになった」ような
気がしました。
この再会こそが紙の辞書か!
あの先生がしつこく言っていたのは
このことか!
ストンと腑(ふ)に落ちます。
英語の勉強では毎回毎回、
こまかい知識がバラバラで登場する。
一度ですべて記憶するなんて、無理。
その時は頭に入れたつもりでも、
数日後・数か月後には完全に消えている。
過去に一度やったことを忘れている、
ということすら気づかず、
初めて見た単語のように同じことを
繰り返す。
でも、紙の辞書を使って
自分が調べた跡を丹念に残していくと、
自然に何度も目に入るので、
結果的にそれが復習となり、
一度費やした勉強時間が、
無駄にならない。
すべて活かすことができる。
実際、自分が過去に引いた単語に
意図せず出くわしたとき、はじめて
紙の辞書の使い方が理解できました。
するとそこからあとは、もう
辞書のページに赤のラインを
引いていくことが楽しくなってきます。
そのうち
「全部のページに赤が入っている状態にしたい!」
となって、
赤ラインを入れること自体が
軽く快感になっていきます。
半年たって気づいたら、
全部のページのどこかに赤のラインが
入っていて、
パラパラとページをめくっているだけで
「おー よくがんばったな、自分!」
と、なんだか楽しくなってきました。
しかたなくなってきて(!)
わけもなくその分厚い辞書を
手でつかんでみたり、なでてみたり。
(ヘンタイ?!)
辞書ケースには油性ペンで
大好きな歌手のイラストまで
描いてしまいました。
そうこうしているうちに、
36だった偏差値が51!
ついに50の大台にのります。